鬼門

あーちゃんは元々甘いものが大好きだったけど、糖尿病なのでちゃんと我慢していた。
だけど、認知症の進行と共に我慢が出来なくなって来た。
押入れにごってりとしたお菓子を隠しこんでいたりもしたけど、その頃はまだ少なくとも娘たちの前ではそんなに甘い物を食べなかった。
だけどだんだんと、しょっ中
と言うようになり、
甘いものにありつけるまでしつこく言い続けるようになった。
我慢できないだけではなく、甘いものへの執着がどんどん酷くなって行った。
あーちゃんの認知症の先生曰く、
との事。
あーちゃんは止めても止めても甘い物を食べたがり、午前中から寝ている。
正に、ある程度進行した認知症患者なのだ。
ホームへの入居を控えたある日、ご挨拶に伺うのに菓子折りを購入した。
その時にあーちゃんも一緒にいたのだが、店員さんに
と試食品が乗ったトレイを差し出されてそれを食べようとしたあーちゃん。
しかし、その日は(止めたのに)(娘たちの目を盗んで)
よく、お店のレジの横に置いてある飴を気がつくと口に入れてしまっていて、何個かをボリボリ食べたのだ。

糖尿病の数値も相変わらず改善していなかった。
なので、
と言ったが、試食品から目が離せないあーちゃん。
説得しても、あーちゃんは目も話さなければ身体も引かない。その上少しずつじりじりと試食品に近づいて行く。
と、ワフウフは試食品とあーちゃんの間に巨体を入れたが、
細い小さな身体のあーちゃんは笑顔で
と、軽い口調で言いながらも物凄い力でワフウフを押し返そうとする。
そこまであの小さな試食品を食べたいの⁉︎
…なんか、執着が凄すぎて、怖い‼︎
最近は薬局や携帯ショップのカウンターや、ありとあらゆる場所に
「ご自由にどうぞ」
って飴の入ったカゴが置いてあるでしょ?
もう、鬼門よ、鬼門!
あーちゃんはそれを決して見逃がす事なくスーッと近づいて行って、ワフウフたちの目を盗んで素早く飴を取り口に入れてしまう。
そして、止めても止めても食べ続けてしまうのだ。
それを怒られた時のあーちゃんが、顔は笑っているけど決して引かなくて物凄く気持ち悪い。
なんか尋常じゃない執着なのだ。
ホームに入ってからは食事の管理は出来ているし、ワフウフたちとしか出かけられないから好きにお菓子を買い込むことも出来ない。
だから前よりは随分甘い物を食べずに済んでいるとは思う。
だけど、あーちゃんをホームから連れ出した時になーにゃんが北海道物産展にあーちゃんを連れて行ったら、
やっぱり試食品という試食品に手を出してしまって大変だったらしい。

食べ物がある場所は鬼門ね!
食欲旺盛なのは良い事なのだけどさ…。

にほんブログ村 介護ブログ 認知症へ
にほんブログ村
Source: アルツハイマー