うるうるでお別れ

部屋のどこに何を置いたら使いやすいかをあーちゃんに確認しながら片付けて、
引き出しになにが入れてあるかをシールに書いて貼ってあげた。

あーちゃんは
と何度も不安げに聞いてきたのでなーにゃんとワフウフも不安になった。
これ、すんなり帰らしてもらえるだろうか?


そうこうしているうちに夕食の時間になり、職員さんが呼びに来てくれた。
食事の介助が必要な人と必要ない人で集まる食堂が違っていて、あーちゃんは介助必要なしの食堂。
職員さんに連れられて食堂に入っていくあーちゃんを見ていたら、おばあちゃんばかりの4人席についていた。
皆さんから話しかけてもらっているようだったので少し安心した。


本当はそのタイミングで帰れれば良かったのだけど、必要なものがあり、あーちゃんが夕食をとっている間になーにゃんとワフウフは急いで近所の商店街に買い物に行って来た。
戻ると、あーちゃんは既に夕食を終えてソファでおばあちゃんたちとお喋りしていた。
楽しそうに話しているように見えたけど、娘たちの姿を見つけるとあーちゃんはすっ飛んで来て
と、涙目。
「黙って帰ったりしないよ〜」
と言ったが、買ってきたものをしまったらそろそろ帰るつもりなのを言い出しにくい雰囲気になった。
あーちゃんはいつも、子供のいるワフウフに
「遅くなっちゃうわよ、早く帰って!」とか、「白玉ちゃんとかメラニンくんは大丈夫なの?」
とか言って早く帰らせようとするのだけど、
この日はそれがなかった。
あーちゃんは不安でいっぱいで、娘たちに帰って欲しくなかったんだろうな。 

部屋で買ってきた物をしまい、
最後にあーちゃんの携帯から
と、たんたんにメールした。
本人が自分の意思で家を出たという証明になる。
まあ、メールしたのはワフウフだけどあーちゃんの了承のもと、あーちゃんの目の前でメールしたしさ。
たんたんこそあーちゃんに隠れてなりすましでメールしてきたしな!↓

そのまま古い携帯を回収して、あーちゃんに新しい携帯を渡した。これでたんたんはもうあーちゃんに直接連絡を取ることは出来ない。


さあ、今日はもうそろそろお暇しなくては。
帰ると告げると、
とブツブツ言っていたけれども、
それでもうるうるした目のまま一生懸命に笑顔を作ってバイバイしてくれた。

大丈夫かしら…。
後ろ髪を引かれる思いでホームを後にした。

心配をしていたが、その日はあーちゃんから電話もメールも来ることはなかった。

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Source: アルツハイマー