あーちゃんのプライド

あーちゃんはよくたんたんに盗られまいとして大事なものをベッドのマットレスの下に隠してしまう。そして自分でどこに隠したのかを忘れてしまう。
つい最近も、また財布がない財布がないと騒いでいたのでベッドのマットレスの下を見るとそこから出てきた。
しかし、探し出す途中でマットレスではなくシーツがめくれたら…
マットレスの上に引くベッドパッドに一目でわかる、黄色いシミが!
ああ…やっぱりおもらししちゃっているんだなあとハッキリと分かった瞬間だった。
まあるいシミは結構大きく、しかも場所的にベッドの縁に腰掛けている時にもらしてしまったと思われる。
あーちゃんの使うバッグにも、いつも尿もれシートが何枚も無造作に入れてあるし、それでなくても異様なほどしょっちゅうトイレに行きたがるので、失敗はあるのだろうなあとは思っていた。
ただ、それがどのくらいの頻度のどの程度の失敗なのかは分からなかったのだが。
ベッドパットのシミを見た限りでは「尿もれ」というよりは「おもらし」と言った方が良さそうな感じだった。
そして、引越しのためあーちゃんの荷物をまとめていた時、あーちゃんの下着の入った引き出しには尿もれ用のパンツが沢山入っていたのが見えたが、それにはあえて触れずに
「持っていく下着を選んで」
と言うと、
しばらくごそごそしていたあーちゃんは尿もれ用ではない普通のパンツを数枚差し出して来た。
心配になって
と聞くと、
と言われてしまった。
いや、沢山入っていたよね…。
そんなこと見れば分かるのに、どうしてそれで取り繕えると思うのだろう。
娘に隠さなくてもいいのに。
ていうか、黙って渡してくれたら何も言わずに黙って荷物に入れるつもりだったのに。

でも、あーちゃんのプライドを傷つけてはいけないので、
とだけ答えておいた。

そして、引越し当日にあーちゃんの目を盗んで荷物の中に尿もれパンツもこっそり忍ばせておいた。

ホームの寝具は貸出しで洗濯やシーツ交換まで全てやってくれるという事で、全く寝具の用意はしていなかったんだけど…
慌てて防水マットを買いに行ったよ。


こんなに色々出来なくなっているのに、プライドだけはしっかり残るからやりにくいよね。
ああでも、あーちゃんの場合はそもそも色々なことが出来なくなったことも認めていないんだけどさ。

にほんブログ村 介護ブログ 認知症へ
にほんブログ村
Source: アルツハイマー